熱中症について
毎年夏季になると熱中症が多発してきます。学校や職場で体調を崩して医療機関へ運ばれるケースもあり、連日ニュースでも取り上げられています。糖尿病患者様では、食事療法とならび、運動療法が非常に重要です。
しかし、夏季は「暑いから」、「熱中症が怖いから」などの理由で、屋外で運動療法を行うことが難しくなります。ですが、運動は糖尿病治療においてとても大切な治療の一つですので、熱中症への対処方法を知り、運動療法を継続して行っていく事が非常に重要です。
熱中症の予防対策
熱中症予防には適切な水分補給が不可欠です。
喉が渇く感覚に頼って水分摂取をするのではなく、運動をするときは水分をこまめに摂取するように心がけましょう。
ただし、水分だけを大量に飲むと体のナトリウム濃度に異常をきたし、筋肉のけいれんや悪心、嘔吐などが出現する恐れがあるので、0.1~0.2%の塩分が含まれている食塩水や清涼飲料水を摂取するように心がけしょう。
その際、糖質を含んだ清涼飲料水の多飲は血糖を上昇させ、清涼飲料水(ソフトドリンク)ケトーシスをきたすおそれがありますので、注意が必要です。
運動の種類と時間帯
経口血糖降下薬治療やインスリン治療を受けている患者様は、空腹時の運動は低血糖となる可能性がありますので、避ける方が賢明です。食後1~2時間後に行うのがよいとされておりますが、この時期、朝食後、昼食後にあたる午前11 時頃との15 時頃は最も熱中症が発生しやすいと言われており、そのため日中の外出を避けるような運動メニューを考える必要があります。
歩行
日中の散歩が難しいようであれば、日没後の涼しくなった時間帯に散歩すると有効ですし、糖尿病薬物治療を受けていない患者様に関しては、早朝の散歩でもかまいません。また、スーパーやデパート、ショッピングモールなど空調設備が整った場所を散歩することも有効です。
水泳
糖尿病患者様の水泳は心肺機能に問題がなければ非常に有効であると言われています。膝への負担を軽減でき、有酸素運動だけでなく、筋肉への負荷により筋肉量の増強、インスリン抵抗性の改善なども期待できます。屋内プールであれば熱中症の心配もありませんので、この時期には非常に有用ではないかとおもいます。
以上、熱中症の予防とその対策及び、糖尿病患者様におけるこの時期の運動療法に関して、簡単にまとめてみました。脱水に伴う脳梗塞の増加なども考えられるこの時期の過ごし方には十分な注意が必要です。この暑い時期を乗り切って実りある秋を迎えられるよう毎日の生活を送っていきましょう。