甲状腺ってどこにあるの?
「甲状腺ってどこにあるの?」 とか「どんな働きをしているの?」と、 甲状腺について知らない方も多いのではないでしょうか。
あまり知られていませんが、日本人は甲状腺の病気が多いと言われています。
そのため、内科外来では、甲状腺の病気を心配されて受診される方が比較的多くおられます。
甲状腺ホルモンの働きは体調の変化と密接に関わっており、最近なんとなく元気がない方や、全身倦怠感などがある方は一度測定してみてはいかがでしょうか。
1.甲状腺の場所と働き
まず甲状腺の場所ですが、喉仏の下あたりにあります。甲状腺の大きな方であれば体表から触れることもできます。
働きとしては、甲状腺ホルモンと言われるホルモンを分泌しています。少し難しいですが、体の代謝を調節する働きをしています。そのため、このホルモンの分泌に狂いが生じると、動機、息切れや、全身倦怠感など体に色々な症状が引き起こすようになります(ホルモン異常)。
2.病気の種類
病気の種類としては、2種類あります。
1つ目には、甲状腺ホルモンの分泌に異常を来す病気と、2つ目には、甲状腺内に腫瘍ができる病気に分けることが出来ます。ホルモン分泌異常はさらに分泌が亢進する場合と低下する場合に分けることができますので、以下の3つに分けることが出来ます。
1.甲状腺機能亢進症(甲状腺ホルモンの分泌が多くなる)
- 【主な症状】
- 疲れやすさやだるさがある
- 汗が異常に多い
- 暑がり
- 脈拍数が多く、動悸がする
- 手足がふるえる
- 甲状腺が腫れる
- 食欲はあるが体重が減少する
- イライラする
- 眠れない
- 排便の回数が増える
- 眼球が出てくる
- 【主な症状】
- 疲れやすさやだるさがある
- 汗が少ない
- 寒がり
- 脈拍数が少ない
- むくむ(顔、全身)
- 甲状腺が腫れる
- 体重が増える
- 気力がない
- 眠たい
- 便秘
- 声がかれる
- 皮膚がかさかさする
- 頚部の腫脹で受診される機会が多いのが特徴です。ホルモン異常に伴い甲状腺全体が大きくなっていることもあれば、甲状腺内に腫瘍ができている場合もあります。
- (1) 採血にてホルモンの値をチェックする。(TSH,FT3,FT4のチェック)
- 甲状腺ホルモンが多いのか少ないのかを確認します。
その際、甲状腺は下垂体と呼ばれる頭の中にあるホルモン分泌臓器から刺激を受けてホルモンの分泌を行っていますので、甲状腺の病気が疑われた場合には、下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)と、甲状腺ホルモン(FT3,FT4)を同時に測定します。次になぜホルモン異常が起きているかの原因を調べていきます。甲状腺は自己免疫疾患と言われる自分の免疫系が自分の体を攻撃してしまう病気により発症してくることが多い病気です。そのために、体にある甲状腺に対する抗体(TSHレセプター抗体、抗サイログロブリン抗体など)を測定し診断を行います。これらの値を参考にしてホルモン異常の原因を調べていきます。
- (2) エコー検査で甲状腺の大きさ、腫瘍の存在を確認する
- 甲状腺ホルモンの分泌異常がある場合、甲状腺自体も変化してくることがあります。例えば甲状腺全体が大きくなったり、或いは小さくなったりします。また甲状腺ホルモンの分泌を増加させる腫瘍が存在したりするために、甲状腺の病気をお持ちの方には一度甲状腺エコーの検査をお勧めしています。腫瘍がもしある場合には、腫瘍の数や大きさ、内部構造などを確認し必要があれば注射針を使って甲状腺内部の細胞を摂取し、悪性細胞かどうかを確認します。
2.甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモンの分泌が少なくなる)
3.甲状腺腫瘍(良性、悪性)
3.検査の流れ
検査の流れについてみていきましょう。
4.治療
甲状腺の検査を行い、診断を行った後は、治療に入ります。ここでは代表的な疾患を3つ挙げてご説明していきたいと思います。
(1)バセドウ病
甲状腺機能亢進症で最も多い病気はバセドウ病の方になります。バセドウ病の治療は大きく分けて薬物療法、放射線療法、手術になります。日本で行われている治療の多くは薬物療法が基本になっていますが、欧米などでは放射線療法が選ばれることも多いようです。それぞれに一長一短あるのが特徴です。治療期間や副作用や後遺症など様々な事柄を総合的に判断して治療していくことになりますので、主治医の先生とよくご相談ください。
(2)橋本病
甲状腺機能低下症の代表は橋本病になります。こちらの治療は内服療法のみとなります。
一旦低下した甲状腺機能は橋本病の場合は回復しにくいので、継続的な内服が必要となってきます。薬剤自体は安価で安全性の高いものとなっております。
(3)甲状腺腫瘍
甲状腺腫瘍の中で悪性腫瘍の代表は甲状腺乳頭癌です。甲状腺癌の約9割がこのタイプになります。比較的予後がいいものですが、放置されると周囲などへ転移をきたしてきます。比較的若い方でも見つかることがありますので、頸部の腫れや、ゴリゴリしたものをふれるなどの症状がある方は一度超音波検査を受けることをお勧めします。
ここまで非常に簡単ではありますが、甲状腺疾患についてご説明してきました。
現在当院では、採血及び甲状腺超音波検査にてホルモン異常から腫瘍性疾患まで診断を行い、当院にて治療ができない疾患であれば、高度専門医療機関への紹介も行っております。
甲状腺の病気についてご心配されている方はどなたでも、お気軽にご相談ください。