糖尿病(1)-3 食事療法について
今回からいよいよ糖尿病の治療に入っていきます。
糖尿病の治療と言われて最初にイメージするものといえば・・・そうです。食事療法ですよね。
今回はこの食事療法についてお話ししたいと思います。
皆さんも一度は、かかりつけの先生もしくは、栄養士さんから食事療法のお話しを聞いたことがあると思います。重要性はわかっているのですが、なかなか実践できない・・・これが食事療法ではないかと思います。
食事療法の基本はバランスのよい食事を行うことにあります。1日3回の食事では、過食や偏食をせずに規則正しい食事を行っていくことを心がけましょう。
また、間食や夕食を済ませた後の食事(就寝前など)を行わない事も重要です。
食事をすると血糖は一旦上昇しますが、数時間経つと下がってきます。しかし、間食した場合には、血糖はその時点から再度上昇を始め、一段と高くなる可能性があります。(図1)。
そのため、どうしても果物やお茶菓子などを食べたい場合には、食後に適量を食べるなどの工夫が必要をしましょう。
1日3回の食生活は非常に重要です。皆様の中には、1日2食の方もおられると思いますが、その場合には、どうしても1回の食事量が多くなりがちです。また吸収の問題などで、食後の血糖上昇が大きくなったりします。糖尿病内服薬を使用されている方では、食事と食事の間が長くなってしまうために、思わぬ低血糖が出現する原因になったりするので注意が必要です。
栄養のバランスを考える場合には、まずは、患者様一人ひとりの適正カロリーを決めることから始めます。これは、年齢や性別、体型や日中の活動量などによっても大きく違いますので、かかりつけ医師と相談してきめることにしましょう。
その範囲内で、炭水化物(55~60%)、たんぱく質(15~20%)、脂質(20~25%)と、適度なミネラル分の割合になるように食事を行っていきます。イメージとしては、ご飯や麺類を中心にしてバランスよくおかずを摂取して、全体のボリュームは控えめするという感じでしょうか・・・
具体的な食事カロリーの計算方法としては、
大まかな目安は以下のようになります。
食品を選ぶ際には、「糖尿病食事療法のための食品交換表」が有用ですが、使いこなすのは大変ですので、通院されているクリニックに栄養士さんがおられる場合には、献立表を見せてもらうとよいかも知れません。
そのほか、最近では炭水化物制限食がマスメディアで取り上げられることが多くなってきました。
確かに炭水化物を制限すると、食後血糖の上昇が抑えられ、体重減少にも効果的であると言われています。
しかし、反対意見もあります。それは炭水化物の代わりに蛋白質や脂肪分を多く摂取することにより、動脈硬化が促進されるのではないかという意見や、腎臓が悪い方が蛋白質を多く摂取すると、腎臓がさらに悪化してしまうという懸念があるからです。
現時点では、どちらがよいのかについては、まだ結論がでていませんので、炭水化物制限食を行う場合には、かかりつけの先生と相談されることをお勧めします。
食事療法は糖尿病治療の基本ですので、阪堺病院では特に力を入れて食事指導を行っております。具体的には、受診した当日すぐに栄養指導を受けていただける体制を敷いております。
これにより帰宅後すぐに取り組んでいくことができますので、ご希望の方は是非担当医にご相談ください。
栄養指導の流れ
- 何よりも簡単で続けられる食事療法の指導を心がけています。
- 日頃召し上がっているお食事を大きく変更するのではなく、やる気を出していただく、お手伝いをさせていただきます。
糖尿病の食事療法は、
根気強く続けてもらうことが治療効果を上げる第一歩です。”一緒に糖尿病克服に頑張りましょう”