膝関節の鏡視下手術

皆さんは「膝の手術」といえばどのようなことを想像されますか?
「皮膚を大きく切るので痛い」「傷が大きく目立ってしまう」「いつまでも固定をしていなければならないので日常生活に不便だ」「一度手術してしまうとスポーツ復帰は難しい」など色々なことを想像してしまうでしょう。

確かに数年前まではそのようなこともあったかもしれません。しかし最近では膝関節にも内視鏡(関節鏡)を用いた手術が発達してきました。

関節鏡視下手術は、直視下手術(従来の切開する手術)に比べて手術創が小さく低侵襲で、術後の疼痛が軽減されます。さらに手術創が小さいことで膝関節周囲筋肉の機能を低下させる可能性が少なく、スポーツの復帰が早いという話もあります。

それにもまして最も有利なことは、意外かもしれませんが、その広い視野にあります。膝関節鏡は関節内に水圧をかけて膝を膨らませ、さらに内視鏡で拡大して観察します。この『膨らませて』『拡大する』ことで正確に診断でき、より繊細な手術操作が可能となります。

また、病変が重複して存在する場合でも、少ない侵襲で複数の病変に手術操作が行える鏡視下手術は有用であると思ってます。実際、多くのプロスポーツ選手でも膝関節鏡視下手術により早期復帰を果たし、好成績を上げている例も多くみられるようになってきました。

現在のところ、鏡視下手術の対象となる膝関節疾患は、前十字靭帯損傷、後十字靭帯損傷、内側側副靱帯損傷、外側側副靱帯損傷、半月板損傷、円板状半月板、離断性骨軟骨炎、膝蓋骨脱臼、軟骨損傷、オスグット病、ジャンパー病、関節内遊離体などが挙げられます。

膝関節の疾患は、保存的療法(手術を行わない治療)で完治する場合と手術治療を施さないといけない場合があり、適正な診断・治療・手術・リハビリテーションによって高い満足感を得ることが可能です。

阪堺病院は、膝の靱帯損傷や半月板損傷に対して膝関節鏡手術を実施している病院です。膝の症状でお悩みの方は一度、整形外科医師までご相談ください。